終の棲家 プロジェクト2017年09月03日

妻が亡くなり、娘もそろそろ家庭を持つ(はずだけど)。ここらで自分だけのための、独りで死ぬまで住める家を作ろうと思う。終活のスタートと言えなくもない。メインテーマは音楽室のある家だ。

場所は家族が長年住んでいてこれからも娘が住むであろう堺。堺は、あまり緑豊かなイメージはないかもしれないが、実は、堺区には大阪でも有数の立派な公園、大泉緑地や大仙公園がある。娘が住んでいる堺東と、大泉緑地、大仙公園で囲まれるエリア内を中心に土地探しを始める。

百舌鳥古墳群


知り合いの不動産屋に声をかけておいたら、大仙公園の近くで分譲地が出ているという。取りあえずと思って盆休みに見に行ったら、いきなり気に入ってしまった。世界遺産に推薦された百舌鳥古墳群エリアのど真ん中で、大仙公園まで徒歩3分。世界遺産登録を目指し、風致地区指定されているので、これから街並みが整備される。大きな土地ではないが、一人住まいには十分そうだ。

大仙公園



翌週には、設計をお願いする予定の、音楽室を得意とする設計士の先生に神戸から来ていただいて、打ち合わせ。いつの間にやら本格的に家づくりプロジェクトが始まった。色々構想を考えると楽しい。独り住まいなので、自分だけの好みで我儘な家が作れる。しかし、当然のことかもしれないが、ワクワクしているのは自分だけで、周囲は私の計画に反対はしないが、あまり関心を示してくれない。マンションのほうが良くないの?とか、ワンちゃん飼ったら?、位の反応しかない。まあ、自分の住む家でなければそんなものか。

それはともかく、終の棲家の基本方針: 1.夜でも心おきなくチェロが弾ける程度に防音された音楽室。響きを重視して適度にライブで、フラッターエコーを抑えられるような凹凸と角度のある壁と天井。この部屋はオーディオルームと少人数アンサンブルの演奏部屋とを兼ね、この家の中心。 2.できれば死ぬまで独りで住めるように、機能的でバリアフリーな家。

この基本方針に対して、本日、設計事務所から基本構想の提案を受けた。目から鱗だったのは、音楽室の形状を土地の境界に合わせて斜めにする案と音楽室を2階に上げる案。前者は、当然、並行な壁が減りフラッター低減に有効。後者は傾斜天井を容易に作れるため、やはり、定在波対策に有効。自分でも色々な間取りを考えていたけど、この2案は思いつかなかった。両案とも音響的に良いので採用です。

写真は、百舌鳥古墳群、大仙公園、音楽室の間取り案

音楽室形状

センチュリー室内楽シリーズVol.12016年12月04日

センチュリー交響楽団のコンマスと首席の4人による室内楽シリーズの第1回目が開催された。今回は、アーティスト・イン・レジデンスの小山 実稚恵さんも参加するので、とても楽しみだった。

小山さんの笑顔はいつも通り素敵だったが、ヴィオラの丸山奏さんも表情豊かで見ていて楽しい(席が彼女の正面だったので、良く見えた)。彼女の奏でるビィオラの音色も、顔に負けず表情豊かだ。こんなにヴィオラが魅力的に聞こえたのは、初めての経験だった。「奏(かなで)」という名前が、重荷だったのか励みになったのか知らないが、名前に負けない音楽家だと思う。他のメンバーの音も表情豊で、音楽で会話するような室内楽の魅力が堪能できる演奏会だった。北口さんのチェロ、スピッカートが軽快で惚れ惚れする。

シューマンのピアノ五重奏曲、小山さんのピアノは、弦の音に寄り添うように優しい音色が彼女らしい。

アンコールで演奏された、ショスタコーヴィチのピアノ5重奏曲、第3楽章。初めて聴いたのだが、すごい迫力で面白い曲だ。



2016年12月2日(金)
ザ・フェニックスホール
出演:
小山 実稚恵(ピアノ)
荒井 英治、松浦 奈々(以上ヴァイオリン)
丸山 奏(ヴィオラ)
北口 大輔(チェロ)
曲目:
ハイドン:ピアノ三重奏曲 第25番 ト長調Hob.XV:25「ジプシー・トリオ」
ハイドン:弦楽四重奏曲 第40番 ヘ長調 op.50-5 Hob.Ⅲ:48「夢」
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
(アンコール) ショスタコーヴィチ ピアノ五重奏曲 第3楽章

音楽教室発表会2016年11月27日

左から二人目がコンミスのMちゃん
23日の祝日に、私がアンサンブルで参加している音楽教室の発表会があった。こちらの教室の先生は、ピアノとヴァイオリン、それと弦楽アンサンブルを指導されている。発表会には、先生の音楽仲間のチェリストやヴァイオリニストも加わり、さまざまな形態での演奏が行われた。

生徒は中高年が中心だが、小学生と高校生が一人ずつ。高1のMちゃん(写真左から二人目)が、この教室のスーパーアイドルで、ヴァイオリン、ピアノに加え、テナーサックスを見事に演奏する。アンサンブルでは、コンミスをつとめ、おじさん、おばさんのテンポが狂いそうになるのを、体全体で合図して、連れ戻してくれる。今回、サックスでは枯葉とレットイットビーを演奏してくれた。その録音は、私のオーディオで愛聴音源になった。

私の出番の最初は、教室の弦楽アンサンブルでの「水上の音楽」、「フーガの技法」。こちらは、ゲストさんも加わって、Mちゃんをリーダーに総勢12名での演奏。エキストラのベテランが加わっているものの、音が聞こえにくかったりして、なかなか、全体を合わせるのは難しい。コンミスの重要性がよくわかる。私は、リハーサルでは、後ろで弾いているゲストチェリストさんの音に合わせると安心だったのだが、本番では、なぜかその音が聞こえ難く、冷や汗かきながら、Mちゃんの動きを見て演奏した。

もう一つの出番は、今年の初めから自主的に集まって練習してきた5名のアンサンブルグループでの「人生のメリーゴーランド」と「島唄」の演奏。メンバーはみんな弦楽器初心者で、初めのころはとても音楽にならなかったが、何とか形にすることができた。チェロは、音程もリズムもまだまだで、このグループはチェロ一人なので、足を引っ張ったと反省。私以外のメンバーは、この教室で、ヴァイオリンとピアノを習っているので、それらの発表もあり、練習大変だったと思う。私はアンサンブルだけなのに、下手くそで申し訳なかった。

今回、ゲストのヴェテランチェリストさん二人と一緒に弾かせてもらえて、随分勉強になった。ビデオで見ると、ゲストの方の弓の速度、私の倍ほど早い、その分、弓を引く幅も広い。ヴィブラートの動きもとても大きくゆったり動いている。こういう仲間といつも一緒に演奏できたら、進歩も早いのだろうなと思う。

今年の4月に、チェロ教室の発表会でデビューしたときは、自分の演奏するだけで精一杯で、それで満足だった。今回は、音楽仲間も増え、さらに楽しい音楽会だった。

「トリオソナタ」 Kindle版 土居豊 著2016年11月12日



☆☆☆

題名に惹かれて、また、指揮者の藤岡幸夫さんの絶賛もあり、読んでみた。

ウィーンに留学し、指揮者を目指す青年が主人公。

登場人物は、革命家を目指し宗教家になった高校時代の友人、あったことのない日本にいる文通相手の女の子、ウィーンの音楽仲間では、艶やかな中国系ピアニスト、日本とドイツのハーフの天才美少女ヴァイオリニスト、イギリス人の新進テノール歌手など、個性的なキャラクターが配置されていて、音楽や恋愛にまつわる物語が、華やかに展開される。

身に覚えはあるが、若いときは、ややこしいことを考えるもので、主人公は、日本人がクラシック音楽を演奏すること、あるいは、音楽そのものの意義について葛藤する。それぞれに個性的な登場人物たちとのかかわりを通して、主人公の心の内が描かれる。

指揮者としての自分の才能に疑問をもち、生活が乱れ、ほとんど音楽を諦めかけていた主人公が、指導教官とともにプラハに移ることを決意するところで、主人公の青年時代の物語が終わる。

最後の章で、物語は一気に数十年後に飛び、主人公は人気指揮者になって、過去を振り返っている。プラハに移ってから指揮者として成功するまでの、経緯は全く描かれていないのだが、まあ、成功した人生とはそういうもので、お気楽に見えても、青年時代の苦悩の痕跡は心に刻まれているのであろう。

同じ時代に留学をしていた藤岡さんが、この物語が自分の青春時代を彷彿させるとして絶賛しているのだが、音楽エリートの世界というのは、華やかなものなのだな。

ベルリンフィル とサイモン・ラトル2016年11月04日

ベルリン訪問最終日は、今回のハイライト、サイモン・ラトル指揮のベルリンフィルである。2002年より続いたベルリンフィルとの契約が、とうとう2018年で満了することが決まり、彼の振る日のチケットは大変な人気である。私は一般販売開始と同時にウェブで購入したが、数分後にソールドアウトしていた。

この日の演目は、前半が新ウィーン学派三人組 Webern, Schönberg, Bergのオーケストラのための作品、後半がブラームスの交響曲2番。正直、後半目当てである。

公演のはじめにラトルさんが少しスピーチをされたのだが、ドイツ語で全くわからない。きっと、前半のプログラムが近代音楽ということで、それを取り上げた意義、後半のブラームスとの関係のようなことを説明されたのかと推測する。

演奏であるが、前半は、ラトルとベルリンフィルであっても、私には無理だった。どう聞けば良いのかわからない。 時々、凄まじいタイコで心臓が飛び出しそうになりながらひたすら耐えるしかなかった。

前半を耐えた人は、後半で天国にお連れしましょう、というプログラム構成なのかと邪推してしまうほど、ブラームスの2番は美しかった。管と弦の見事な呼応、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、バスがかなでる波のような音のうねりに酔いしれる。

ラトルさんやベルリンフィルの皆さん、あるいは観客の一部の人は、前半の音楽にもブラームスに比肩する美を感じることができるのだろうか。羨ましいものだ。

演奏:Berliner Philharmoniker
指揮:Sir Simon Rattle
演目:
Anton Webern
Six Pieces for large orchestra op. 6b
Arnold Schoenberg
Five Pieces for orchestra op. 16
Alban Berg
Three Pieces for orchestra op. 6
Johannes Brahms
Symphony No. 2 in D major op. 73


キアロスクーロ クァルテット2016年11月03日







シュニッツェルとピルスナーで腹ごしらえして、今日は遅れないように、ベルリンコンサートホールでのキアロスクーロ クァルテットの公演に向かう。キアロスクーロは、ロシア出身のヴァイオリン奏者アリーナ・イブラギモヴァが率いるヨーロッパの四人組で、この春には、初来日もしている。出身は、下のメンバーリストのように国際色豊か。

ヴァイオリン
Alina Ibragimova (Russia)
Pablo Hernán Benedí (Spain)
ビオラ
Emilie Hörnlund(Sweden)
チェロ
Claire Thirion (France)


キアロスクーロの演奏は、ガット弦を張ったモダン楽器で、ノンビブラートのバロック奏法というスタイル。ヴァイオリンとヴィオラは立って演奏、チェロはエンドピンを立てずに、抱えて演奏していた。

演目は、最初がモーツァルトのハイドンセットから「春」、次がハイドン「五度」、最後がベートーベン「ハープ」と、ストレート三球勝負。

柔らかなガット弦の音色が溶け合い、えも言われぬ美しさ。特にハイドンは、この演奏スタイルとの相性が良く、絶品。ガット弦あこがれてしまうが、難しいのだろうな。楽章毎にチューニングしていたし。



ベルリン国立歌劇場の蝶々夫人2016年11月02日

昨日、11月1日の夜にベルリンに入り、今日はベルリン国立歌劇場の蝶々夫人を聞いた。国立歌劇場とは言え、本来のオペラハウスは、6年前から改築中で、かなり狭いシーラー劇場での公演。

蝶々夫人を演じたAlexandra Voulgaridou さん(写真)、全く知らなかったが、声も演技も素晴らしい。オペラ全体はクラシカルな演出で、登場する沢山の日本人役の着物の着こなしや立ち居振舞いもしっかり訓練されていて、違和感がない。皆さん、正座させられて辛そう。指揮は韓国の女性 Eun Sun Kim さん。こちらも初めて知ったお名前。

無難な演出で、期待通りの効果をあげるのは、さすが本場の歌劇団。cozyなシーラー劇場に、相応しい公演だったと思う。

実は今日、散歩からホテルに戻った後、時差ボケで寝てしまい、目覚めたら、開演の40分前。飛び起きて着替えて、地下鉄の駅に向かう。乗り換えで迷い、出口でも迷って、到着は開演予定を5分過ぎ。まさに入り口に施錠するところを入れてもらい、係のお兄さんに先導されてダッシュ。二階最前列の20人の前を横切って、席まで後数秒のところで序曲が鳴り出した。迷惑なオジさんを演じてしまい恥ずかしかった。

松脂の再生2016年10月16日

バイオリン、チェロ、はては二胡まで、擦弦楽器を弾く人が、すべからくお世話になるのが、松脂。これが、良く割れる。落として割れたり、薄くなってくると弓にこすり付ける時の力で割れる。結構、高いので、割れたからといって捨てるのは、もったいない。他の人はどうしているのか知らないが、私は、湯煎で溶かして、固めて再利用している。下の写真のように、丸い容器にラップをしいて、そこに、割れた松脂を入れる。鍋に水を沸かし、そこに松脂を入れた容器を置いて、温める。暫くすると、溶けるので、湯から出して冷えて固まるのを待つ。



なんということか、出来上がりの写真を撮ろうとして、床に落としてしまった。折角、再生したのに、悲しい。大きな塊だけ、使うことにする。



指揮者のいないオーケストラ2016年10月06日

かつてロシア革命後のソビエトで、Persimfans(ペルシムファンス)という指揮者のいないオーケストラが、1922年から1932年まで活動していた。名前の Persimifans は、 Pervïy Simfonicheskiy Ansambl' bez Dirizhyora (First Conductorless Symphony Ensemble、指揮者のいない最初のオーケストラ)の略である。

なぜ、指揮者がいなかったのか。当時のロシアは経済危機で、まともな指揮者は国内に残っていなかったのに加え、すべて平等を是とするマルクス主義で音楽も支配者から解放することを目指したためらしい。このオーケストラ、メンバー全員が曲を熟知することが必要で、綿密な打ち合わせと大変厳しいリハーサルを行って、演奏に臨んだ。特徴的なのは、メンバーが相互に意思疎通できるように、全員が真ん中を向いて座る楽器の配置。結果的に、このスタイルは当時、世界的に人気になり、パリ、ベルリン、ニューヨークでも真似する楽団があったという。

昨日、Slipped Disc で発表された記事 によると、ピアニストのPeter Aydou さんの呼びかけで、モスクワの112人の音楽家があつまり、Persimifans が復活したらしい。今週、開催される最初のコンサートに向けたリハーサルの録画がアップされている。



この短いビデオを見ても、演奏の大変さがわかる。一つの曲を仕上げるのに、指揮者が使うのと同等のエネルギーを112人全員が使う必要があるのだろう。トータルで112倍のエネルギーを詰め込んだ演奏、聞いてみたくなる。

参考にしたサイト: History of the Greatest Conductorless Orchestra

ベルリン・フィルとパナソニック2016年09月01日

昨日、デジタルコンサートホールのことを書いたが、今日、パナソニックとベルリン・フィルが映像・音響分野の技術開発協力で合意したことが 発表されていた。



ベルリン・フィルと言えば、ソニーとの協業が有名だったが、いつの間にか終焉していたようだ。知らなかった。

パナソニックと協力して取り組む分野としては、デジタルコンサートホールへの4K技術の導入、ハイエンドオーディオブランドであるテクニクスの技術を使ったハイレゾ配信やアナログ録音の探求、自動車内でのハイクオリティコンテンツの再生の最適化、が言及されている。楽しみが増えそうだ。
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